2010年2月24日
全日本教職員組合(全教)書記長 北村佳久
1.2月23日、最高裁判所第三小法廷は裁判官全員一致の意見で、東京都の上告受理申し立てに対して上告審として受理しないことを決定した。これにより昨年4月の東京高裁勝利判決は確定した。
2.この裁判は、2003年9月に行われた、当時の東京都立七生養護学校金崎満校長の教諭への降任、1ヶ月の停職という都教委処分の取消をもとめる裁判としてたたかわれた。
3.七生養護学校事件は、東京の教育行政が、中教審答申(2003年3月)にもとづく教育基本法改悪への先行的施策導入、特別支援教育への制度転換を前に「東京都心身障害教育改善検討委員会」(2003年5月)の障害児教育の大リストラ方針などを強引にすすめるために、学校の「経営体質」と学校運営システムの強権的な転換への意図を背景にすすめられた。この年の10月「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について」なる都教委10.23通達も出されている。
4.全教は、七生養護学校への攻撃を教育行政による教育統制、および「特別支援教育」による障害児教育大リストラ推進に向けた意図的処分ととらえ、合同調査団を組織すると共に、金崎裁判、「こころとからだの学習」裁判への全国的支援を続けてきた。
5.情緒障害児の実態をふまえた柔軟な指導体制をとったことを「不適正な学級編制」とし、それを主要な根拠とする金崎元校長への処分であった。東京高裁判決は「本件懲戒処分は重きに失し、社会通念上著しく妥当を欠いて裁量権を濫用して発せられた違法なものであり、本件分限処分は、一部根拠のない事実を前提とし、考慮すべきでない事項を考慮して処分事由の有無を判断したもので、重きに失し、裁量権の行使を誤った結果発せられた違法なものである」と明快に断じ、控訴を棄却し、処分の取消を求める地裁判決を相当とした。さらに判決が、児童、生徒の実態をふまえた適切な授業形態の工夫や、問題行動や集団不適応が顕著で現行の学級編制や教育課程では教育的対応が十分にできない生徒への柔軟な対応などに対する教育的判断を指摘したことは重要である。