全日本教職員組合(全教)生権・法制局長 蟹澤昭三
文部科学省(以下、文科省)の発表によると、2008年度の教職員の病気休職者数は8578人、精神疾患5400人と、ともに過去最高になった。精神疾患以外の病気休職者数は過去10年間微増にとどまっており、増加の要因が精神疾患増にあることも判明した。新採教員では88人が精神疾患で退職しているが、採用1年目は休職制度がないため集計から除外されている。もはや教職員個人の問題でないことは明らかだ。
病気休職者は40代と50代を合わせると6497人で全体の75.5%、精神疾患は3936人72.9%になっている。経験も豊富なベテラン層を何が襲っているのか、真剣な現状分析と対策が求められている。
文科省は事務作業の軽減を言う一方で、これまで事務室でおこなっていた煩雑なパソコン入力事務作業が教職員に押し付けられるシステム化が全国的に広がっているなど、本末転倒の事態もすすんでいる。同時に、ベテラン層に主幹教諭などの新たな職が持ち込まれたり、新たな教職員評価制度などで管理と統制が強まるなど、本来教職員の共同の力が発揮されることが求められているはずの学校現場で教職員が分断され、孤立化がすすんでいることも見逃せない。全教青年部や女性部の調査によって、管理職によるハラスメントの深刻な実態も明らかになっている。文科省が教員政策をあらため、こうした事態を改善することは急務だ。
また、何よりも病気休職の背景にある恒常的な長時間過密労働の根本的な是正のために、OECD平均程度の抜本的な教職員増が求められている。2006年に実施された文科省の「教員勤務実態調査」によると、30人以下学級が教職員の長時間労働を軽減することも明らかにされている。あわせて、子どもたちとふれあい、その成長にやりがいを感じている一人ひとりの教職員から子どもたちと直接ふれあう時間を奪っているさまざまな業務の精選が急がれる。全教は、今回の深刻な事態の発表に対して、教職員を病気休職に追い込まない具体的施策の実現を文科省に強く求める。