『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年11月号 10月20日発行〉

【特集】ともに歩もう! ジェンダー平等と教育の世界へ

  • 全教共済
オピニオン

【アピール】『憲法の精神にもとづき、子どもの権利条約を生かして、どの子も大切にされる教育を――みんなの力をあわせて、21世紀の未来をひらく教育をつくりましょう――』

 全教も参加する「みんなで21世紀の未来をひらく教育のつどい―教育研究全国集会2009」実行委員会は、8月21日から23日にかけて東京で開催した「教育のつどい2009」の成功を受け、アピールを発表しました。


【アピール】 父母・国民、教職員のみなさん!
  
憲法の精神にもとづき、子どもの権利条約を生かして、どの子も大切にされる教育を!
―― みんなの力をあわせて、21世紀の未来をひらく教育をつくりましょう ―― 
  
2009年 8月23日 「みんなで21世紀の未来をひらく教育のつどい―教育研究全国集会2009」実行委員会
 
 子どもたちと教育の未来に心を寄せるすべてのみなさん
 
 8月21日から3日間、東京で開催した「教育のつどい2009」は、全国から集まった多くの父母・市民、教職員、子どもたちの参加と熱心な子ども論議・教育論議によって、大きく成功しました。「みんなで21世紀の未来をひらく」、集会名称に込められた子どもたちと教育への思いを共有し、みんなの力で子どもたちの成長と発達を保障する教育を実現しようと熱い討論が展開された3日間になりました。過去最高の26団体で構成され、16団体の賛同も得た実行委員会による共同のとりくみとして準備され、開催されたことも、教育をみんなの力でつくっていく重要な一歩となりました。
 
 「集会テーマに掲げられた『憲法の精神にもとづき、子どもの権利条約を生かして、どの子も大切にされる教育を』の実現をめざして、それぞれの地でまたがんばることができる」というのが、参加者の実感となりました。「教育改革」の嵐にもかかわらず懸命に奮闘する東京の教職員、現地実行委員会に結集いただいた諸団体のみなさんの姿は、「教育のつどい」に参加した全国の教職員、父母・国民への大きな激励ともなりました。「教育のつどい2009」を支え、猛暑の中、困難を押してご奮闘いただいた東京のみなさんと全国からの参加者のみなさんに心から感謝を申し上げます。
 
 
 「教育のつどい2009」は、この国の未来に大きな影響を与える総選挙と重なり合う日程での開催となりました。総選挙では、私たちが長年にわたって主張してきた「貧困と格差拡大の影響を子どもたちに負わせてはならない」「すべての子どもたちの教育を受ける権利を保障するためにも教育費の無償が必要」といった政策が重要争点として浮上しています。「教育のつどい」の論議を通じて、子どもたちと教育の困難が、教育基本法改悪など教育政策の歪みに端を発していることも明らかにされ、政治を変えることが子どもたちを守り、教育をよくすることにつながることも共通の思いになりました。また、教育フォーラムや多くの分科会で「貧困と格差の広がりから子どもと教育を守る」課題が、正面から取り上げられ、多くのレポートと真摯な議論を通じて、今日のもっとも重要な教育課題の一つであるとの認識が広がりました。この課題の解決のためにも政治の転換が求められます。子どもと教育を大切にする政治を実現し、みんなで21世紀の未来をひらきましょう。
 
 
 「教育のつどい2009」では、開会全体集会、9テーマで開催された教育フォーラム、子ども参加の特設分科会を含む29分科会で、子どものこと、学校のこと、教育のこと、これらをとりまく社会の問題がたくさん話し合われました。開会全体集会での作家・あさのあつこさんと現地・東京の3人の対談では、「10代をたっぷり生きさせてあげたい」と述べたあさのさんの言葉を通して、改めて子どもたちのすばらしさ、今を生きることを考え、『人間ってすばらしいと感じた』など共感の声がたくさん寄せられました。1000人を超える人が参加した9つのフォーラムでも、それぞれのテーマから子どもたちの今と明日に接近し、これからを語り合う積極的な議論がおこなわれました。分科会でも全国から寄せられた405本のレポートを中心にしながらの論議に、「明日からの元気をもらった」などたくさんの感想が寄せられました。
 
 討論の特徴は、子どもたちをめぐる深刻な状況や教職員の困難が語られながらも、「教育のつどいの論議は終始明るいトーンですすんだ」といくつもの分科会から報告されていることです。目の前の困難はあるけれども、子どもたちと教育の営みへの限りない信頼が基礎にあり、ここにこそ教育の展望があります。子どものすこやかな成長を支え、その発達を保障する教育を充実させるためには、教職員も率直に悩みを出し、父母・国民のみなさんと共有し、子どものために力を出し合ってとりくみをすすめることが何よりも大切であることが、多くの参加者の実感となりました。実行委員会を構成する労働組合、民主団体から36本のレポートが発表され、また、地域からも市民、父母・保護者によるレポートがたくさん発表されました。これらの報告が、教育フォーラムや分科会の論議を深め、みんなの力でこそ学校、教育はつくることができることが参加者の共通の確信となりました。「参加と共同の学校づくりで、子どもと教育の困難をのりこえることができることが確かめられた」などの声も寄せられました。
 
 
 「教育のつどい2009」には、たくさんの青年が参加し、自らの教育実践に関わる率直な悩みも出しながら論議がすすめられました。開会前日には、青年レポーターを囲み、学習と交流の輪がつくられる新しい試みも行われました。開会全体集会の最後をかざった青年たちの「明日の教育」にかける意気込みは、参加者の感動を呼び、それぞれのフォーラム、分科会では全国から参加した青年の発言が新鮮さとともに論議の深まりをつくりました。フォーラムや分科会の論議を通じて、憲法や教育そのものが持っている値打ちや力が確かめあわれたこととあわせて、21世紀の教育をつくりだす重要な契機となりました。「子どもたちとともに平和の文化を」というテーマを生かした教育フォーラムの成功などによって、子どもたちとともに未来への希望をつくりあげようという確かな方向性を持つこともできました。
 
 
 「教育のつどい2009」は、本日、すべての日程を終えます。
 
 全国からご参加いただいたすべてのみなさん、子どもたちと教育の未来に心を寄せるすべてのみなさん。
 
 「教育のつどい2009」で学び合ったことを全国各地に持ち帰り、子育て・教育に生かしましょう。「教育のつどい2009」の到達点と教訓を、学校と地域に広げて、憲法の精神にもとづき、子どもの権利条約を生かし、どの子も大切にされる教育を――力をあわせてつくりあげましょう。21世紀の未来をひらく教育をつくるための引き続く奮闘を心から訴えます。

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