『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年12月号 11月20日発行〉

【特集】登校拒否・不登校から見える景色――安心できる居場所がほしい

  • 全教共済
オピニオン

【声明】『憲法9条の改悪をねらう憲法審査会規程の採決強行に抗議する――憲法審査会を始動させないことを強く要求する――』

                     2009年 6月11日 全日本教職員組合 中央執行委員会

.本日、与党の自民・公明党が、衆議院議院運営委員会並びに衆議院本会議において、衆議院憲法審査会規程の採決を強行したことに、厳しく抗議する。

.憲法審査会は、憲法改定の原案審査の権限を持つものであり、規程を定め審査会を始動することは、国民投票法が施行される来年5月に向けて憲法改定の準備を始めることを意図したものである。国民投票制度は、日本国憲法の根本原理である国民主権が最大限保障されるよう徹底して民主的であることが求められる。
 
 しかし、衆議院での審議は、憲法審査会の役割やこれを始動しなければならない必要性についてほとんど国民に知らせることもなしに、今国会が会期末を過ぎて延長された時期に突如として数の力で採決を強行したものであり、主権者国民の意思を蹂躙する民主主義にもとる行為と言わざるを得ない。
 
.憲法審査会規程の採決を強行し憲法改定を急ぐ勢力の中心的ねらいは、憲法9条の改悪により海外での戦争を可能にすることにある。しかし、この間の各種世論調査では9条改定に国民の圧倒的多数が反対しており、憲法審査会の審査を望んでいないことは明らかである。今日、憲法審査会を始動し、憲法改定のための規定の整備をはじめなければならない理由は、国民にはない。
 
 現在、国会では、海外派兵の恒久化と武力行使に自衛隊を突きすすめる「海賊対処」法案が審議されている。また、無法な北朝鮮の核実験の強行に対して、「敵基地攻撃」など武力対抗論ともいえる危険で無責任な議論が政府と与党の中からおきている。憲法99条で憲法尊重擁護の義務を負う国会議員がなすべきことは、憲法前文の平和主義の理念と9条の武力行使の禁止などの規定に忠実に徹底審議を尽くし、これに反する法案や言動こそ厳しく審査し、平和憲法の理念を生かして国政をすすめることである。
 
.われわれ教職員は、平和であってこそ教育がなりたち、子どもたちの未来があることを確信し、「教え子を再び戦場に送るな」と固く決意している。全教は、広く国民に教職員の決意を伝え、憲法と平和、子どもと教育を守りぬくために、戦争に道をひらく憲法改悪に断固反対し、憲法審査会を始動させないことを強く要求する。

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