2009年 5月21日 全日本教職員組合 書記長 北村 佳久
1.東京高等裁判所第7民事部(大谷禎男裁判長)は、本日、全教が提訴していた「公立学校共済組合運営審議会委員任命処分取消等請求事件」について、控訴を棄却する判決を行いました。判決は、裁判所自身が「本件の争点」として整理した3点のうち、「①控訴人らの被侵害利益の有無」を、任命され得る資格を認めつつ「任命される権利又は法律上の利益があるということはできない」と、結論ありきの恣意的かつ乱暴な論理で否定したうえで、「②本件任命の違法性の存否」および「③控訴人らが被った損害」についての判断を放棄したという、きわめて不当なものであり、強く抗議するものです。
2.判決は、法令定款に明記されていないことを理由に、公立学校共済組合の運営審議会委員および理事の「推薦制度自体存しない」として、特定団体によって委員と理事が寡占されている事実に目をつむる一方で、日教組や全日教連によって行われている候補者推薦を「事実上の措置にすぎないもの」であり「慣行となっていると認めることはできない」と、特定団体だけが実質的な任命期に候補者推薦を行っていることを容認するものでした。
どんなに強弁しようと、1993年から16年間にわたって続いている全教からの推薦者を検討の対象ともせず、日教組や全日教連の推薦者を任命し続けた「事実上の措置」は、まさしく「慣行」であり、実質的な推薦制度であることは明らかです。判決は、「特定の職員団体の意向を組合の運営に反映させるために職務を行うことは全く予定されていない」として、全教からの推薦だけを排除する論理を展開していますが、この論理に則れば「慣行」として行われている特定団体による運営審議会委員と理事の寡占こそが問題とされなければならず、明らかに論理矛盾に陥っています。
3.今回の提訴は、公立学校共済組合員全体の意向が反映されるように、運営審議会委員などの役員選任のあり方の抜本的な改革を求めるものであるとともに、当面、職員団体の推薦者を任命するやりかたを続けるのであれば、少なくとも特定団体の独占、特定団体の排除は間違っていることをあきらかにするたたかいでした。
その点で、地裁と高裁でのたたかいを通して、今まで闇のなかにあった運営審議会委員などの役員選任のあり方が明らかにされたことは重要です。また、本日の判決においても、「教職員団体に対する運営審議会委員の比例配分は、異なる教職員団体の多様な意見を被告組合の運営に反映することが期待でき、また、各教職員団体の間の公平感も保たれることから、一つの優れた方策であるとはいえる…」などとした一審における到達点と私たちの主張を否定することはできませんでした。
4.今日、教職員の病気休職者が増大し、教職員の命と健康を守る上で、公立学校共済組合の役割がますます重要になっています。私たちは、不当な偏向任命をゆるさず、100万教職員の福利厚生に真に貢献する公立学校共済組合の民主的な運営を実現するために引き続き奮闘するものです。
同時に、全国の組合員の意思を結集して、文部科学省と公立学校共済組合に公正な任命を迫るとりくみに、今後とも全力をあげる決意を表明するものです。
以上