『クレスコ』

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クレスコ

〈2024年11月号 10月20日発行〉

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【談話】『異例の公務員夏季一時金引下げの動きに反対する』

                   2009年 4月 6日 全日本教職員組合 書記長 北村 佳久

1.人事院は、本日、突如夏季一時金についての民間調査を4月7日から24日までとりくみ、連休明けにもとりまとめるとの方針を示しました。人事院は、今回の民間調査を、大幅減額が伝えられている民間状況の把握のためであり、一時金引下げを前提にしたものではないとしています。しかし、3月29日の日経新聞が「政府・与党は国家公務員の2009年夏のボーナスを減額する方向で検討に入った」と報道し、4月3日には各紙が「自民・公明両党の『国家公務員の給与の検討に関するプロジェクトチーム』(葉梨康弘座長)は2日、国家公務員の6月の期末手当を減らす法律案を了承した」「1割以上は減るのでは」と報道したように、政府・与党による一時金削減の意図が強く働いており、民間調査を実施することが一時金引下げへの第一歩となることは明らかです。異例の民間調査は、ただちに中止すべきです。

2.日本の公務員労働者は、労働基本権が制約されているもとで、その代償措置としての人事院勧告制度によって賃金・労働条件が決定されています。このこと自体が国際的には異常なことであり、この間ILOが日本政府に対して公務員の労働基本権を回復するよう勧告してきたことや、昨年ILO・UNESCO共同調査団が日本政府に「管理運営事項」も交渉・協議の対象にすべきとしたのは当然のことです。政府・与党の一時金削減の意向を受けた今回の民間調査実施は、人事院が労働基本権制約の代償機関としての自らの役割を否定し、自らつくってきた公務員の賃金決定ルールさえ踏みにじることにつながる重大な問題です。私たちは、政府・与党の動きに無批判に追従する人事院の姿勢を、断じて認めることはできません。
 
3.いま全国でたたかわれている09春闘では、民間企業において大手製造業を中心に一時金の大幅削減が示されていますが、中小企業のほとんどはまだ賃金闘争の真っ最中であり、夏季一時金については連休明けのたたかいになるという状況にあります。こうした中で公務員の夏季一時金の引下げ方針が示されるならば、当然、中小企業における夏季一時金闘争は大きな打撃を受け、また、7月に向けて検討される最低賃金の改定作業にも重大な影響を与えることは明らかです。
 
4.公務員の一時金は、前年の冬と当年度の夏における民間支給実態を毎年7月まで調査した上で、8月の人事院勧告に反映されることになっています。したがって、09春闘での結果は、今年の8月の勧告に反映されるべきものです。
 あえて、4月に異例の調査を実施してまで夏季一時金の引下げを強行しようとする政府・与党の思惑は、勧告ルールを無視した公務員賃金引下げの実績づくりという総選挙に向けたきわめて政治的・党略的なものであると同時に、経済不況の結果を労働者に押しつけ、大企業が内部留保を取り崩さずに労働者の雇用破壊と賃下げによって乗り切ろうとしているやり方に手をさしのべるものです。いま必要なのは、子どもたちにも深刻な影響を引き起こしている日本の労働者の貧困問題を改善することです。そのためには、すべての労働者の雇用が守られ、大企業が社会的責任を果たし、内部留保のほんのわずかを取り崩すことで実現できる、すべての労働者の賃上げこそがもとめられています。全教はそのために今後とも奮闘する決意を表明するものです。

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