2008年 2月 6日 全日本教職員組合 書記長 東森 英男
政府は2月1日、昨年の通常国会での学校教育法の改悪で新設された主幹教諭を、08年度から全国の公立小中学校に配置するために義務教育標準法「改正」案(以下「改正」案)を閣議決定した。
法案の趣旨は、主幹教諭を置く学校について、「特別の配慮を必要とする事情」のある場合に教職員の数を加配できるとするものである。
しかし、報道されているように、この加配が「授業負担を学校内の一般教諭で肩代わりできない場合に限る」とすれば、「子どもと向き合う時間の確保」どころか、わずかばかりの増員と引き換えに、多くの学校で主幹教諭以外の教職員に負担がしわ寄せされる危惧はぬぐえないものである。
今回の法案は、不当な管理支配を強める一方で、子どもたちの教育にあたる教員を十分保障しないばかりか、かえって、教育に困難を持ち込むものである。
文部科学省は、08年度予算に対する概算要求において「子どもと向き合う時間の確保」のためとして、3年間で2万1000人の定数増をかかげたが、「骨太の方針2006」と行革推進法の厳守を求める財務当局の前に来年度1000人の定数増にとどまった。このことは、少子化に伴う自然減が1300人あることを考慮すれば、全体としては300人の定数減であることを意味する。
文科省のこれまでの説明では、主幹教諭の定数の2分の1を加配するとしてきた。全教は、その際でも学校に配置されるのは非常勤講師の可能性が大きく、主幹教諭の持ち授業時数は軽減されるとしても担任や校務分掌を担うことのできる教職員が減少する可能性が大きいなどの問題を指摘してきた。
そもそも文部科学省は、自らが行った教職員の勤務実態調査で、休日を除く超過勤務時間が平均月34時間あるとし、その半分にあたる17時間分の時間軽減を行う方策のひとつとして主幹教諭の配置のためだけでも来年度3669人の定数増を求めていた。それにもかかわらず、わずか1000人の定数増にとどまったことで、教職員の超過勤務の半減そのものが空手形となってしまっているのが現状である。
以上のことから、全教は今回の「改正」案に反対するとともに、あらためて各都道府県において主幹教諭をはじめとする「新たな職」の設置を許さないとりくみに全力をあげるものである。