2008年 1月11日 全日本教職員組合 書記長 東森 英男
本日、政府、与党は衆議院本会議で、インド洋での海上自衛隊の給油活動を再開するための新テロ特措法案の再可決を強行しました。テロ根絶に役立たず、逆行する新テロ特措法を、民意を無視し、憲法の例外規定である「3分の2」条項で再可決したことは、まさに歴史的暴挙であり、満身の怒りをこめて抗議するものです。
新テロ特措法は、テロ特措法が期限切れとなったため、インド洋から引き揚げた自衛隊部隊を再び派兵するための憲法違反の法律です。9・11テロのあと、アメリカは国連憲章を踏みにじって「報復戦争」をはじめましたが、新テロ特措法案はこの米軍を給油活動で軍事支援する戦争支援法です。報復戦争から6年、アフガニスタンでは国土が荒廃し、テロが増大するなど混迷を深めており、戦争ではテロはなくならないことを示しています。アメリカの戦争に協力するために、自衛隊を海外に派兵することは、許されません。
日本が果たすべき国際貢献は、アメリカの戦争支援ではなく、アフガニスタンの和平を支援する外交的努力をつくすことです。アフガニスタン内では、カルザイ政権が空爆に反対し、タリバンを含む武装勢力との和平と和解に向けたフムロセスに踏み出しています。さらに、派兵しているイギリスやオ-ストラリアでは、軍事的手法から政治的解決に戦略の重点を移すべきだとの声が挙がっています。
また、守屋前防衛事務次官が逮捕されるなど、防衛省と自衛隊が軍事利権疑惑にまみれている実態が明らかになりましたが、この重大疑惑を解明することなく、採決を強行したことは断じて許されないことです。
多くの国民は、様々な世論調査で明らかなように、国会で審議を重ねるごとに、次第に「インド洋への再派兵反対」「給油活動の再開反対」の声が高まりました。
この間、私たち全教は新テロ特措法の廃案をめざして、全国各地で街宣行動、署名運動、地元選出議員への要請行動、そして中央での国会行動に取り組んできました。このたたかいで、給油活動を行ってきた海上自衛隊艦船を撤収させ、また政府・与党が法案成立にむけて二度も会期を延長せざるを得ない事態をつくり、参議院では与党法案を否決させるなど、歴史的なたたかいをすすめました。このたたかいの基礎に、教育基本法改悪反対のとりくみが切り開いた参議院選挙後の新たな情勢があることは言うまでもありません。
しかし、国会終盤には、海外派兵の恒久法づくり、自衛隊をアフガン本土に送るなど、派兵を拡大する危険な内容の民主党案が提出され、参議院では可決されました。昨年11月の自民・民主党首会議では恒久法制定で一致し、すでに与党内では制定に向けて動き出しており、今後翼賛的な恒久派兵体制づくりに突き進む危険性が生まれています。
全教は、「教え子を再び戦場に送るな」の旗を高く掲げ、子どもたちに憲法9条を無傷のままに手渡すために、憲法改悪反対のたたかいとともに、自衛隊の海外派兵の恒久法制定阻止など、「戦争する国づくり」を許さないたたかいに全力をあげるものです。