2007年12月12日 全日本教職員組合 書記長 東森 英男
東京地裁民事11部(佐村浩之裁判長)は本日、全教が文部科学大臣と公立学校共済組合理事長を相手に、公立学校共済組合理事、運営審議会委員の任命の不当性を訴えた裁判について判決を行った。
判決は、文部科学大臣と公立学校共済組合が、理事と運営審議会委員を、日教組と全日教連の推薦者に独占させ、全教の推薦者を排除していることを認めつつ、「任命が違法となるということはできない」として、訴えを却下し、請求を棄却した。
私たちは、偏向任命の事実を認めながら、権力の横暴を容認した今回の判決に断固たる抗議の意思を表明するものである。
公立学校共済組合は、100万人に及ぶ公立学校教職員の医療、年金を中心に、福利厚生全般を担う重要な組織であり、その運営は、組合員の立場にたって公正に行われなければならない。
しかし、文科省、公立学校共済組合は、組合員を代表する運営審議会委員8名全員を日教組と全日教連の役員から任命しつづけてきた。
今回の提訴は、共済組合員全体の意向が反映されるように、運営審議会委員などの役員選任のあり方の抜本的な改革を求めるものであるとともに、当面、職員団体の推薦者を任命するやりかたを続けるのであれば、少なくとも特定団体の独占、特定団体の排除は間違っていることを明かにするたたかいであった。
判決の中で、「教職員団体に対する運営審議会委員の比例配分は、異なる教職員団体の多様な意見を被告組合の運営に反映することが期待でき、また、各教職員団体の間の公平感も保たれることから、一つの優れた方策であるとはいえる…」「文部科学省においては、候補者に関する情報入手を教職員団体に依存しているとの現状を踏まえれば、被告大臣の裁量権行使に当たり、複数の教職員団体間の公平間を保つことも考慮することが相当であると考えられる…」として、私たちの指摘を認める見解も示さざるを得なかったことは重要である。
今日、年金問題が重要問題となるとともに、教職員の病気休職者が増大し、教職員の命と健康を守る上で、公立学校共済組合の役割がますます重要になっている。
私たちは、不当な偏向任命を許さず、100万教職員の福利厚生に真に貢献する公立学校共済組合の運営を実現するために引き続き奮闘するものである。
そのため、控訴してたたかう方向で検討をすすめるものである。
同時に、裁判所の見解の積極的な部分も活用して、文部科学省と公立学校共済組合に公正な任命を迫るとりくみに全力をあげるものである。
以上