『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2025年1月号 12月20日発行〉

【特集】障害のある人のいのちと尊厳―優勢思想をのりこえる

  • 全教共済
オピニオン

【声明】『原爆投下を容認した久間防衛相の発言に抗議し、罷免を要求する』

2007年 7月 2日 全日本教職員組合 中央執行委員会

 久間防衛相は30日、米軍による1945年8月の原爆投下について「しょうがないと思っている」という、世界で唯一の被爆国の閣僚として、絶対にあってはならない重大な発言を行った。私たち教職員組合は、戦前の教育が侵略戦争遂行の国策に従属させられ、戦争賛美の教育が行われたことへの痛苦の反省に立って、子どもたちが平和の大切さを学ぶことを重視し、憲法にもとづく平和教育に力を入れてとりくんできた。核兵器にかかわっては、とりわけ、被爆地である広島、長崎の被爆の実相から学ぶ教育をすすめてきた。今回の久間防衛相の発言は、こうした平和教育をすすめてきた教職員組合として、断じて容認できないものである。

 広島・長崎への原爆投下は、両市が瞬時に廃墟となり、21万人余の市民の尊い命を奪っただけでなく、今日も26万にのぼる被爆者を心身の傷で苦しめつづけている残虐非道な行為であった。久間氏の発言は極めて不見識であり、大臣不適格と言わざるをえない。「戦争する国づくり」の骨格として、昨年12月15日に、教育基本法の改悪と同時に防衛省の昇格が強行された。久間氏は初代の防衛大臣であり、その驕りと対米追従の姿勢を示すものである。
 
 久間防衛相は、原爆投下が「国際情勢、戦後の占領状態などからすると、そういうことも選択としてはあり得るのかな」と述べているが、〝悪魔の武器〟である核兵器の使用は、どのような状況・背景があれ、絶対に許されるものではない。核兵器の使用は今日、国連総会の諸決議や国際司法裁判所の判断(1996)など、「違法」が国際的な到達点である。被爆国である日本政府は、戦争放棄の憲法9条と、国是である「非核三原則」に基づき、核兵器廃絶に向け全力で外交努力することこそが求められている。
 
 看過できないことは、久間防衛相の任命権者である安倍首相が、この重大発言を擁護し、野党・国民などの罷免要求にも背を向けていることである。私たちは久間氏に、発言の取り消しを強く求めるとともに、安倍総理大臣に久間防衛大臣の罷免を要求するものである。そして、核兵器のない平和な世界を子どもたちに手渡すために、今後とも奮闘するものである。

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