6月6日に行われた日本共産党の記者会見で、自衛隊の「情報保全隊」が、大規模な国民監視活動を展開していた事実が明らかにされました。
自衛隊が国民の動きを監視し、記録していたことは、戦前の「憲兵」の活動をも想起させる日本の民主主義の根幹にかかわる重大問題です。今回明らかになった事実は、日本国憲法を蹂躙し、諸法に違反する行為であるとともに、自衛隊法にも根拠をもたず、「情報保全隊」の任務を定めた「訓令」にも、「情報保全隊」設置時の調査隊の任務にかかわる国会答弁をも大きく踏み外す、違憲・違法そのものの活動です。
全教は、安倍晋三内閣総理大臣、久間章生防衛大臣宛に抗議文を送りました。
内閣総理大臣 安倍晋三 様
防衛大臣 久間章生 様
自衛隊が、日常的に、イラク派兵反対運動、医療費、年金、消費税、国民春闘などにかかわる、幅広い国民の活動(署名、地域での宣伝活動、集会、デモなど)を監視し、個人の氏名や写真、団体による活動なども含め、詳細に記録していた事実が明らかになった。
戦前の「憲兵政治」をも想起させるこれらの行為は、日本の民主主義の根幹にかかわる重大な違憲・違法の活動であり、集会、結社、言論、表現、思想信条の自由に真っ向から挑戦するものであり、決して許すことはできない。
私たちは、満身の怒りをもって抗議するとともに、自衛隊による違憲・違法な国民監視活動を直ちに中止することを要求する。
同時に、その全容を解明し、国民に明らかにすることを求める。
「戦後レジームからの脱却」を掲げ、戦前政治への回帰を求め、教育基本法の改悪に引き続き、憲法改悪と「戦争する国づくり」に向かう、安倍内閣の暴走政治の中で、自衛隊の国民監視活動が明らかになったことは象徴的なできごとである。
今国会において、安倍内閣は、改憲手続き法、米軍再編促進法、イラク派兵延長法など、アメリカとともに「海外で戦争をする国づくり」をすすめるための法案を、前代未聞の異常な国会運営の中で相次いで成立させてきた。
さらに社会保険庁解体法案、教育改悪3法案、国公法改悪法案の採決をも強行しようとねらっている。
これら強権政治と、自衛隊による国民監視活動は一体のものである。現在の政府の根本姿勢を見直すことが求められている。
日本政府が、憲法を遵守し、国民の声を踏まえた政治を行うことを強く要望する。