『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年12月号 11月20日発行〉

【特集】登校拒否・不登校から見える景色――安心できる居場所がほしい

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【アピール】『改憲手続き法案廃案をめざすたたかいと固く結び、教育改悪3法案を廃案にするため、全力をあげよう――教育改悪3法案の審議入りにあたって――』

2007年 4月17日 全日本教職員組合 中央執行委員長 米浦 正

 本日、教育改悪3法案が衆議院で審議入りしました。教育改悪3法案は、以下に述べる重大な問題点をもつものであり、私たちは廃案をめざし、全力をあげるものです。
 第1に、学校教育法では、改悪教育基本法第2条に「国を愛する態度」=「愛国心」を入れ込んだことを根拠に、義務教育の目標にもこれを入れ込み、子どもに、「愛国心」を押しつけようとしています。これは、教育基本法改悪をめぐる国会審議でも大問題になったように、憲法第19条が保障する内心の自由にそむくものです。また、副校長、主幹教諭、指導教諭という新たな職をつくり、これを学校教育法に位置づけようとしています。これは、新たな上意下達の体制づくりであり、教育の自主性と教育の自由を侵すものです。さらに、行政権力による「学校評価」の押しつけを強めることもねらわれています。
 
 第2に、教育職員免許法では、教員免許に10年という期限を設け、10年ごとに講習を受けさせ、認定されなければ免許を失効させて教員を失業させるという、教員免許更新制を導入しようとしています。また、これとかかわって教育公務員特例法を改悪し、権力の言いなりにならない教員に「指導不適切」というレッテルを貼り、研修を受けさせ、その結果、「指導改善」と認定されなければ10年をまたずに失業させることができるしくみをつくろうとしています。これは、時の政府のいいなりにならない教員の教壇からの排除をねらうものであり、断じてゆるせません。また、教員をこのような不安定な身分にしてしまうと、教員希望者が激減することは間違いなく、そうなれば、日本の教育の将来が立ちゆかなくなるという大問題を引き起こす危険性をもつものです。
 
 第3に、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(地教行法)では、地方教育委員会に対する国の指示を入れ込むことをはじめ、地方教育委員会の自主性を蹂躙して、国がコントロールするしくみをつくろうとしています。
 教育改悪3法案のねらいは、「戦争する国」づくりである憲法9条改悪と一体に、教育を時の政府の支配下におき、「『戦争する国』の人づくり」をすすめるところにあり、改悪教育基本法の具体化そのものです。
 教育改悪3法案は、憲法違反の改悪教育基本法の具体化であるがゆえに、憲法の諸原則と正面からぶつからざるを得ません。またそれは、子どもの成長・発達と無縁であるがゆえに、子どもの成長・発達を助けるという教育のいとなみの本質と正面からぶつからざるをえません。ここに確信をもち、運動を大きく広げようではありませんか。
 
 教育改悪3法案と深くかかわる改憲手続き法案も重大な局面を迎えています。しかし、4月14日付朝日新聞社説が「廃案にして出直せ」とかかげたのをはじめ、各地方紙が続々と反対の社説をかかげていることにも明らかなように、世論は改憲手続き法案をまったく望んでいません。この広範な国民世論とかたくむすび、改憲手続き法案廃案をめざすたたかいと一体に、子どもと日本の将来に重大な問題を広げる教育改悪3法案を廃案に追い込みましょう。
 
 昨年、私たちがとりくんだ教育基本法改悪をゆるさぬたたかいは、全教結成以来最大規模のたたかいとなり、労働組合、民主団体との共同も飛躍的に強まり、たたかいは、国民的規模に広がりました。このたたかいの到達点にたって、職場を基礎に、組合所属の有無や違いをこえた教職員の共同をいっそう広げ、父母・国民のみなさんと力を合わせてたたかうならば、必ず廃案に追い込むことができます。全力をあげようではありませんか。
 
 教育現場は、年度初めという、1年間でもっとも忙しい時期を迎えています。教職員は、この多忙な中にあっても、子どものすこやかな成長を願い、日々大奮闘しています。このこと自体、教育のいとなみの力を太く、確かなものにする貴重なとりくみです。ところが、教育改悪3法案は、この貴重ないとなみを権力の力によって踏みにじろうとするものです。断じて許せないではありませんか。
 
 教職員のみなさん、子どものすこやかな成長を願うからこそ、教育改悪3法案の廃案をめざすたたかいに立ち上がりましょう。職場で集まって学習しましょう。隣の席の教職員に、身近な父母に、今すぐ署名を訴えましょう。街に出てビラを配りましょう。時間をやりくりして国会に駆けつけましょう。ありとあらゆる知恵を出し合い、力を出し合って、何としても廃案に追い込もうではありませんか。全教中央執行委員会は、その先頭にたってたたかうものです。

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