大会宣言
「憲法の力」「教育の力」に立脚し、改悪教育基本法の具体化を許さず、子どもの願いにこたえた学校づくりの前進、平和な社会の実現を!そのため、「全教の力」を強く大きくしよう!
安倍政権は、「在任期間中に憲法を『改正』する」と宣言し、今国会でその手続き法案の成立をめざすとともに、全国一斉学力テスト、教員免許更新制などの導入に躍起となる緊迫した情勢の中で、全教は第24回定期大会を東京で開催しました。歴史的な教育基本法改悪反対闘争において、全教が開催した2005年「3・26 1万人集会」を結節点として、この1年間、国民的な教育論議と共同の飛躍的な広がりを築いた直後の大会であり、この間のたたかいの教訓を理論化し、これを踏まえて、今後正念場を迎える憲法改悪阻止、「教育再生会議」主導の教育破壊を許さず、子どもと教育、平和な社会を守り抜く攻勢的な方針を確立しました。そして、この未来をきりひらく歴史的なたたかいを保障する安定的な財政基盤を確立する「3億円基金」のとりくみを確認しました。
1.安倍内閣は、「教育改革」を〝政権の浮揚策〟として位置づけ、徹底した「競争と排除」を本質とする「教育再生会議」の報告を利用しながら、学校教育法、教員免許法、地方教育行政法の改悪を急いでいます。こうした方向は、子どもと父母・国民の願いに反するばかりか、教育委員会関係者や経済人からも疑問の声が出され、首相官邸と文部科学省の矛盾・あつれきなど、「改革」のもろさがすでに表面化しています。
大会討論では、教育基本法改悪反対闘争がつくった「宝の山」が紹介され、最高法規である憲法と子どもの権利条約を生かし、「参加と共同の学校づくり」を基軸にすえて奮闘するならば、改悪教育基本法の具体化を打ち破ることができるとの発言が相次ぎました。
また、「よい教師になることは、憲法・教育基本法を身につけることなんですね」という新任教師の声が紹介されるなど、子どもと教育を何としても守りたい、そのために教育基本法を守り、生かしたいという教職員の良心が結び合い、学んで行動し、行動して学びながら確信を深めていったことがこもごも語られました。「やれることは何でもやってみよう、やれそうにないことでも挑戦してみよう」を合言葉に、新聞意見広告、ラジオスポット、ミニのぼり、PTAや教職員OBへの呼びかけなど、多彩で感動的なとりくみが報告されました。全国と各地が呼応した私たちのとりくみの発展、またさまざまな団体や労組とのネットワークがはりめぐらされたことにより、国民世論は大きく動きました。
教育基本法のたたかいを憲法闘争と一体のものとして位置づけ、「職場九条の会」を発展させたとりくみが、心を通わせ、組織の壁を乗り越える力をもつことが報告されました。こうした到達点が、子どもと教育を守るたたかいの国民的共同の土台を築くとともに、憲法がある限り、改悪教育基本法の具体化を阻止することができるという確信が討論をとおして深められました。
2.「市場原理」万能、弱肉強食の「構造改革」のもと、ワーキングプアに象徴される貧困と格差が深刻化し、生活保護世帯が100万を突破し、就学援助や授業料の減免を受ける児童・生徒が増大しています。給食費や修学旅行代を払えない家庭、経済的な事情で退学せざるを得ない高校生も増えています。ところが政府・文部科学省は、教育予算を増やし保護者の教育費負担を軽減するのではなく、「親の規範意識」を強調し、給食費の徴収強化を打ち出しています。討論においては、授業料を払えないで学校を辞めていく仲間をなくそうと私学助成削減反対で立ち上がった私立高校生の活動、高校統廃合反対で立ち上がった高校生、教育費の無償をめざし子どもたちの就学権を守るとりくみなどが報告され、とりくみ強化の意思統一を勝ちとりました。
3.公務員バッシングがとどまることなく、公務員の総人件費削減が強められ、公務員労働者の賃金・労働条件が劣悪化しています。文科省が40年ぶりに実施した「教員の勤務実態調査」は、全国の教員が1カ月当たり平均約80時間という過労死ラインに相当する、異常で違法な時間外勤務をおこなっていることを浮き彫りにしました。財界の意向を受けて厚生労働省は、残業代をゼロにする労基法の改悪(「ホワイトカラー・エグゼンプション」)に執念を燃やしています。
討論では、「なくそう格差と貧困、つくろう安全・安心な社会を」を旗印にした07春闘の中で、賃金の底上げ、均等待遇、働くルールの確立などで「官民一体・国民共同」のたたかいを展開する決意が示されました。
教職員評価制度が全国的に実施あるいは試行に入っているなかで、制度を管理統制の具にさせない粘り強いたたかいがすすんでいます。一方で文科省は、「主幹」「指導教諭」「副校長」など、新たな職によって教職員を分断し、「国に従順な教師」づくりの策動を強めています。際限のない長時間過密労働に追われている教職員は、上からの押しつけの教育政策の下、精神性疾患が急増し、過労死、過労自殺なども深刻です。過労死を公務災害に認定させるとりくみが出され、子どもと教育に願いを寄せる国民的要求と結んで社会的にもアピールし、運動をすすめることが訴えられ共感を広げました。
4.教育基本法改悪反対のとりくみで、職場におけるつながり深まり、全教の役割と存在価値が高まるもと、地道で勇気をもってとりくまれた組織拡大が「ピンチがチャンス」「組織拡大に失敗なし」と語られ、組織拡大の大波をつくる条件と可能性が確かめられました。
1月に京都で開催された「全国障害児学級&学校学習交流集会」には1200名が集まり、「憲法と教育基本法は障害児教育の命」との確信がみなぎり、引き続き、どの子も大切にする障害児教育を守り抜くと誓い合いました。また「センセのがっこ。」全国版in京都が大成功し、青年教職員の中に、「仲間とともにたたかおう」との熱い思いが広がりました。また、現業職員、実習職員、図書館職員など少数職種に対する民間委託、「給与構造改革」などの攻撃を組織全体でたたかい、攻撃を押し返す中で組合員を迎えていることが発言され、組合員拡大の決意を固めあいました。
5.今年は、「石原教育改革」が争点となる東京都知事選挙を皮切りとする統一地方選挙と参議院選挙がたたかわれる年です。教育基本法改悪反対闘争を通じて、私たちは「教育を良くするには政治を変えなければならない」と痛感し、改悪教基法が強行成立された12月15日、「この悔しさを選挙で」との思いを強くしました。
討論では、情勢のベクトルは前向きであり、教育と暮らしをよくしたいなどの願いを政治の転換に結びつけようと力説されました。
私たち全教は、「教え子を再び戦場に送らない」の誓いをあらたに、どのような厳しい攻撃があろうとも、憲法の改悪を阻止し、戦争する国づくりを許さず、これまでに築き上げてきた子ども一人ひとりを大切にする民主教育を発展させるため、父母国民とともに全力でたたかいます。
以上、宣言します。
2007年 2月12日
全日本教職員組合 第24回定期大会