2007年 1月26日 全日本教職員組合中央執行委員会
文部科学省は、1月24日に、学校給食費の徴収状況に関する調査結果を各都道府県等に通知するとともに、マスコミ等に公表しました。
その通知のなかで、調査結果を踏えて、学校給食費の未納問題への対応として、①学校給食の意義・役割及び学校給食費の重要性についての保護者への周知 ②生活保護による教育扶助及び就学援助制度の活用 ③学校給食費の未納問題への取組体制 との3点について「留意事項」をとりまとめ、「適切な対応」を要請しています。
全教は、昨年11月に文科省に対し、学校給食費の徴収状況に関する調査については、①調査結果の活用目的は、滞納に対する支援という条件整備とすること、②調査結果をもって、家庭の経済的状況を無視した一面的な給食費徴収の強化をおこなわないこと、の2点を申し入れました。その理由は、調査の目的が経済的な理由で未納となっている子どもや家庭に支援するための条件整備を主な目的としていないこと、また、家庭の責任や規範意識を問題にし、「法的措置」を含めて、徴収方法を強化する方向に誘導される危険性をもつおそれがあったためです。
今回の通知では、私たちが危惧したように、未納が生じる主な原因について「保護者としての責任感や規範意識」と回答した学校が60%との結果が強調され、徴収を強化する方策が取り上げられています。もちろん、極端な例として問題視されている一部の保護者については、学校給食の意義と役割を理解していただき、協力を求めることは当然ですが、「規範意識」が一面的に強調されていることは、ことの本質を見誤らせるおそれを強くもつものです。
しかし、「貧困と格差」が社会問題化するなかで、不十分な調査であるにもかかわらず、「保護者の経済的な問題」が原因であるとの回答が33%にのぼっていることは重要であり、実態をある程度反映したものといえます。経済的理由による未納に対して、通知では生活保護や就学援助制度の活用を呼びかけていますが、各地から就学援助制度の認定基準の切り下げの実態が報告されており、私たちは制度の改善と普及を強く求めるものです。また、努力しても徴収しきれなかった未収金については、子どもたちへの不利益を回避するために、各自治体で必要な財政的補填をおこなうなどの対応が必要です。さらに、2005年度に就学援助制度の準要保護者にかかわる補助金を一般財源化したのは政府であり、今日の現状にふさわしく国の補助金を復活させることが何よりも求められています。
全教は、今日の深刻な状況を踏まえて、憲法第25条、26条ならびに国際人権A規約第13条(a)(b)に立って、諸外国並みの給食費無償化に向けた積極的な国民的な運動を呼びかけるものです。
以上