震災から12年目を迎え、当時小学生だった子どもたちも大人になりました。その過程で子どもたちがどんな状況に置かれ、どんなことに向き合ってきたのか、周囲で見守ってきた保護者や教職員、地域の人々の思いはどうだったのかをふり返ることは、甚大な災禍のもとで子どもの権利を保障するための重要な視点を示してくれるのではないでしょうか。
東日本大震災の直後に小学校に入学した子どもたちは、この春高校を卒業します。入学・卒業という人生の節目に想定外の状況に見舞われ、長期にわたるコロナ禍で人とのふれあいやつながりを制限されたことは、心の復興をより困難にしているとの懸念もあります。
本特集では、さまざまな苦難と葛藤の中で大人になった被災地の子どもたちに思いを寄せ、災禍に生きる子どもたちの豊かな成長のために大切なことは何かを考え合う一助としたい。