『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年12月号 11月20日発行〉

【特集】登校拒否・不登校から見える景色――安心できる居場所がほしい

  • 全教共済
専門部

全教青年部が「変えていこう働き方青年教職員アンケート2021」を記者発表

 全教青年部常任委員会は、構成組織を通じて、2021年5月から7月にかけて「変えていこう働き方青年教職員アンケート2021」を実施し、2022年3月28日、結果について記者発表をおこないました。

 アンケートの目的は、コロナ禍で多忙化に拍車がかかっている学校現場の働き方を可視化すること、相談する時間も場所も減っている職場で改めて青年教職員の声を聴くことです。

 結果の詳細は、添付の「アンケート分析結果」または「この働き方を変えていくためにリーフ」をご覧ください。

 

<結果のポイントは以下の通りです>

(1)勤務時間内に授業準備する時間が保障されていないことが明らかになった。

   「勤務時間内で授業準備をする時間はどのくらいですか?」(設問2より)

  •     小学校    「ない」31%、「30分以内」40%、「1時間」20%
  •     中学校    「ない」24%、「30分以内」35%、「1時間」28%
  •     高校     「ない」11%、「30分以内」15%、「1時間」37%
  •     特別支援学校 「ない」11%、「30分以内」24%、「1時間」40%

(2)「最低でも1コマ当たり授業準備に『1時間』以上を必要とする」声が小学校で約5割、中学・高校・特別支援で8割。持ち時間にてらして、最低でも必要な準備時間には程遠い状況が明らかに。

  「よりよい授業を準備するにあたり、最低でも1コマどれくらいの時間が必要?」(設問3より)

  •     小学校    「1時間」33%、「1.5時間」6%、「2時間」3%、「2時間以上」3%
  •     中学校    「1時間」50%、「1.5時間」14%、「2時間」12%、「2時間以上」6%
  •     高校     「1時間」32%、「1.5時間」13%、「2時間」19%、「2時間以上」17%
  •     特別支援学校 「1時間」35%、「1.5時間」20%、「2時間」18%、「2時間以上」7%

(3)過労により、健康や通勤時の自動車運転に不安を感じている教職員が過半数を超えた。小学校は7割とより深刻な数値結果となった。(設問6より)

(4)部活動について、ガイドラインの上限越えが多数(設問9より)。また、専門外を引き受けざるを得ないままならなさが数多く寄せられた。子どもたちのニーズとの間で葛藤をかかえている。(設問10自由記述より)将来的には社会教育に移行することをのぞんでいる教員が多い(設問11より)

(5)ICT機器が効果的に活用できる条件整備がなされていない。(設問12より)

<結果からみえてきたこと>

 結果から見えてきたことは、教育行政が進めてきた「働き方改革」は、学校現場や教職員の「自助努力」を強いてばかりということです。業務内容は減らさず、教職員も増やさず、早く帰ることばかりが呼びかけられる。その結果、仕事の速さや効率がより求められる状況になっています。「管理職から『なんでこんなに遅いのか』と言われ、仕事が終わらないことを自己責任にされる」「元気だった若手教職員が療休に入った。明日は我が身。身体がもうもたない、何度もやめようと思いながらやっている」「朝7時から19時まで働くのは当たり前。19時に帰れればまだよい方」「楽しい授業がしたいのに…。勤務時間内には報告書、テストの丸付け、校務分掌…。やってもやっても次の仕事。やることが山積みで、一番大切な授業準備ができない」。多くの青年教職員の願いや悲鳴が聞こえてきます。

 この結果を多くの青年教職員に知らせ、「自分に力がないから」「もう身体がもたない」「子どもたちに楽しい授業を」と悩みながら働く青年教職員に、あなたが抱えている問題は個人的な問題ではなく、構造的な問題だと伝えたいと思います。そしてこの働き方を変えてく道はあるということを示し、一緒に変えていく仲間になることをよびかけます。

 教職員の働き方の問題は、子どもの学習権にかかわる問題です。子どもたちにとって学ぶことは人権であり希望です。子どもたちの学ぶ権利を保障していく条件整備こそ教育行政の役割です。子どもの権利条約や憲法に立脚した教育をすすめることができる、教育に夢と希望を抱いて教職の道を歩み始めた青年教職員がいきいきと教育活動にとりくむことができる労働条件と教育条件整備を速やかに行うことを行政に求めていきます。

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