『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年12月号 11月20日発行〉

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専門部

全教幼稚園部が文科省交渉を実施

 全教幼稚園部は12月5日、「総合施設」「預かり保育」の問題について文科省交渉を行いました。


2005年12月 5日
 
文部科学大臣 小坂 憲次様
  
全日本教職員組合
中央執行委員長 石元 巌
幼稚園部 鈴木佳代子

幼稚園教育の充実と教職員の定数・待遇改善等に関する要求書
 
 戦後60年、日本は世界で有数の経済大国になりました。子どもたちが飢えや貧困におびえることなく、豊かな保育や教育が保障され、子どもが子どもらしく生きていける、そうした経済的・社会的な条件が十分あります。にもかかわらず、長期不況がもたらすリストラや経済的困難が若い世代を直撃し、さらに、新自由主義的な経済効率優先政策は「規制緩和」の名のもとに子どもを守る法律の規制さえ取り払い、子どもが安心して暮らし、健やかに成長していくことを困難にしています。そして、親たちの子育て不安にいっそう拍車をかけています。
 子どもの視点に立ち、「子どもの最善の利益」を第1に考え、乳幼児の発達保障と切実に求められている諸課題の解決に向けて、左記の事項の実現を強く要求します。
 
 
一、「総合施設」に関わる緊急要求
1.「総合施設」本格実施に向け、モデル事業の検証がされているが、次のことを明らかにすること。
① モデル事業評価委員会の内容をどのように受け止めているか。また、今後の予定を明らかにされたい。
② 幼稚園、保育所は独自の機能と役割を持ちつつも、保育については同じ基本に立っていると考えるが、「幼稚園における教育に相当する・・・」と、あえて挙げることの意味を明らかにすること。
③ 「総合施設」の職員配置についてどのように考えているのかを明らかにすること。
④ 障害児の受け入れについては、「総合施設」においても、障害の実態に応じた教員加配をおこなうこと。
 
 
二、幼稚園教育全般にかかわる要求
1.「幼保一元化」「教育特区」「幼保一体化」問題について、以下の諸点を明らかにすること。
① 教育基本法と学校教育法第七八条の立場に立った対応をおこなうこと。
② 新たな予算措置をおこなわないままでの、現行の学校教育基本法80条に反する2歳児入園を再検討すること。
③ 幼稚園教育への株式会社参入を認めないこと。
④ 乳幼児教育のレベルダウンにつながる「幼保一体化」「幼保一元化」はおこなわないこと。
 
2.「預かり保育」「延長保育」について以下の対策を講ずること。
① 不十分な教育条件のまま安易に「預かり保育」「延長保育」を実施・拡大しないこと。
② 「預かり保育」を実施するにあたっては、幼児の発達を保障できる制度を確立するために十分な教職員配置や施設設備など教育条件の整備を図ること。
③ 「預かり保育」「延長保育」を実施している幼稚園の子どもの現状や、現場の教職員、保護者の声等の実地調査をおこなうこと。
 
3.幼稚園設置基準について抜本的な改善を図るとともに、公立幼稚園教職員定数法を制定すること。
① 学級編成基準については、1学級の幼児定数を3歳児15人、4・5歳児20人とすること。当面、3歳児20人、4・5歳児30人とすること。
② 教員配置基準について
イ.定数については1学級当たり1・5人の教員を正規の教員で配置すること。
ロ.養護教諭、事務職員 、用務主事は各園に1名配置すること。
ハ.障害児受け入れ園については、幼児の健やかな発達を保障するために障害の実態に応じた教員加配をおこなうこと。
ニ.給食実施園については、栄養士1人、給食調理員1人以上を配置すること。
 
4.「第三次教育振興計画」にもとづいた3歳児就園を全国で実施すること。
 
5.幼稚園の休・廃園・民営化・園児募集停止等が各県で進んでいるが、父母・住民・教職員と十分に話し合うよう、関係機関を指導すること。
 
6.私立幼稚園に対する助成を大幅に増やし、幼稚園就園奨励費の減免単価改訂の見直しを今後も継続すること。また、教職員の勤務条件を改善するための特別な助成措置を実施すること。
 
7.保育料・入園料の値上げをしないよう適切な行政指導をおこなうこと。
 
8.教員採用に当たっては、教育職として採用すること。また、現在、行政職で採用されている教員については、教育職に改めるよう関係機関を指導すること。
 
9.未就園児の子育て支援において、十分な人的・物的環境整備をすすめること。
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